不動産の契約からはじまる売買取引の最終工程が決済になります。そして決済・引き渡しの当日にトラブルが発生することのないように、準備を進める必要があります。問題が起きなければ、概ね1時間から1時間半ほどで完了するものです。気持ちよく当日に決済が出来るように、ここでは必要な書類や持ち物、当日の工程などを解説していきます。
不動産売却の流れを理解しよう!契約から決済までのステップ
売却が決定し、決済・引き渡しの日までに済ませておくべきこと、主に引っ越しと立ち合いについてその詳細を解説していきます。
引っ越し
売買契約時点ではまだその物件に居住していても、引き渡しまでには退去しなければなりません。
その際にはライフラインの契約の解除、マンションの場合は管理組合に事前に通知が要る場合もあります。
エアコンの取り外しなどといった設備は、何を残すのかを注意し、引越会社に的確な指示を出しましょう。
そして一般的には、固定資産税や都市計画税、マンションの管理費や修繕積立金の清算をします。
マンションの売却の場合、火災保険料や住宅ローンの保証料などが戻ってくる場合もあります。
立ち合い
引っ越しの直前に、売主と買主そして不動産会社で物件に立ち合います。戸建ての場合や土地の境界明示を実施し、越境物の有無を確認します。
戸建てやマンションの場合は、設備の有無や不具合情報が記載された「付帯設備票」に載せられた設備について、チェックをします。
設備の瑕疵や不具合については正直に伝えることが重要になってくるため、物件や周辺状況に関する欠陥や傷、修繕の履歴などが記された「物件状況確認書」の確認も行います。
不動産売却に備える!手続きや準備が必要な書類
不動産の引き渡し時に必要な書類は、そのほとんどが「買主へ渡す書類」「登記に必要な書類」の2種類です。
不動産会社の指示に従い、手元に書類があるかを確認しましょう。
・権利証(登記済証・登記識別情報)
登記識別情報を紛失した場合は再発行ができないため、不動産会社の担当者に連絡しましょう。
・印鑑証明証
引き渡しから3か月以内に発行したものを用意しましょう。
・固定資産税納付書
・公共料金の領収証
・管理規約、設備類の取扱説明書、購入時のパンフレット、建築確認通知書など
その他に実印、引き渡す鍵、通帳あるいはキャッシュカード・着金の確認ができるオンラインになった端末、そして司法書士や不動産会社への報酬や手数料などが必要になってきます。
不動産に抵当権が設定されている場合、売手側が住宅ローンの金融機関に連絡して、抵当権抹消の書類を準備しましょう。個別に必要になる書類などは、事前に不動産会社に確認し、早めの準備をしましょう。
不動産売却の決済当日に備えて知っておくべきポイント
書類の不備などがあった場合、決済日の延期や後日変更などといったトラブルが発生することもあります。
事前に売主側が不動産仲介会社と密にやりとりをし、準備を万全にしておきましょう。
決済が延期された場合、違約金が発生することもあります。場所や日時、必要書類などを必ず確認し、決済日当日に備えましょう。
司法書士による本人確認・書類確認
決済手続きをする時は、はじめに司法書士が決済の場にいる売主や買主の意思確認と本人確認を実施し、必要書類「所有権移転転記」にかかる書類確認も行います。
決済日当日は必ず写真付き身分証を忘れずに持参しましょう。ここで必要書類が不足していると、決済不可になるため、必要な書類は事前に十分に確認しましょう。
代金支払い
本人確認、書類確認を終えた司法書士の指示に従って支払いをはじめましょう。
買主から売主への残代金の支払いが行われ、住宅ローンを利用する場合も、このときに仲介手数料や登記費用と共に買主が支払います。
この際には不動産業者が領収書を持参してくれるので、内容を確認次第、売買代金や固定資産税、管理費などの精算金の領収証を発行しましょう。
口座から支払う場合は実印のほかに、銀行届出印も必要です。売主と買主の債務は同時に履行するのが原則とされており、これらは主に決済日に行われます。
鍵や必要書類の引き渡し
買主側にこれまでに作成した合鍵などを含めた全ての鍵、取扱説明書や資料、パンフレットなどの各種必要書類を渡します。
司法書士・不動産業者への支払い
決済の手続きが終了したら、司法書士や不動産会社への支払いが発生します。
最終チェック
最後に決済の不備がないかを確認し、問題がなければ取引が完了します。
もしも決済日に何かしらの不備やトラブルが起きた場合は一刻も早く、不動産の担当者に連絡しましょう。
まとめ
不動産の売買契約を締結した後には、決済と引き渡しの手続きが発生します。引き渡しの間までにとり行うべきことは多く、通常、決済日までに1か月から2か月程度の時間が空きます。そして大きな金額が動く不動産売却時の決済の手続きは複雑ですが、事前にこれらのスケジュールとやるべきこと、準備すべきものをしっかりと把握して揃えておくことで、スムーズに進めることが可能です。まずは決済当日に不手際や不備が起きないように、事前に必ず司法書士や不動産会社に必要書類を確認し、万全の態勢でのぞみましょう。