自宅を売却してもそのまま住み続けられるリースバックは、老後資金の確保や住宅ローンの返済に困ったときの選択肢として注目されています。しかし、利用した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する人も少なくありません。本記事では。契約前に知っておくべき落とし穴やトラブルの実態、失敗を防ぐための確認ポイントをまとめました。
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後悔しやすい3つの落とし穴
リースバックには便利な面がある一方で、仕組みをよく理解しないまま契約すると思わぬ損をすることがあります。後悔する人に共通するパターンを見ておきましょう。
売却価格が相場より大幅に低い
リースバックで自宅を売却する場合、売却価格は市場価格より低くなることがほとんどです。一般的には市場価格の60〜70%程度が目安とされており、通常の不動産売却と比べると大きな差が出ます。業者は将来的に再販するリスクや管理コストを考慮するため、どうしても低い価格を提示せざるを得ない面があります。
契約後に「普通に売ればもっと高く売れたのに」と気づいて後悔するケースが多く見られます。あらかじめ市場価格を把握した上で、リースバックの査定額と比較することが大切です。
家賃が相場より高くなりやすい
売却後に支払う家賃は、周辺の賃貸物件の相場より高く設定されることが多い傾向があります。家賃は「買取価格×利回り÷12か月」という計算式で算出されるケースが多く、業者が利益を確保する構造になっています。
「住宅ローンの返済より楽になると思っていたのに、毎月の家賃が想定以上に重い」という声も少なくありません。長期にわたって支払い続けることを考えると、家賃が生活に与える影響は非常に大きいため、契約前に毎月の収支をきちんとシミュレーションしておく必要があります。
定期借家契約で突然退去を迫られる
賃貸借契約には大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。普通借家契約は借主が希望すれば更新できますが、定期借家契約は契約期間が終われば退去が必要になります。
リースバックでは定期借家契約が採用されるケースも多く、2年契約が終わった後に再契約を断られ、住み慣れた家を出ざるを得なくなった事例が実際に報告されています。契約を急かされたり「審査に通りやすい」と勧められたりした場合は、なぜ定期借家なのかを必ず確認してください。
実際に起きたトラブルの実態
リースバックに関するトラブルは、契約内容の確認不足や業者選びのミスが主な原因になっています。実際にどのようなトラブルが起きているのかを把握しておくことが、失敗を防ぐ第一歩です。
家賃を突然値上げされた
契約当初は「家賃は変わらない」と口頭で説明を受けていたにもかかわらず、賃貸借契約の更新タイミングで家賃の値上げを要求された事例があります。口約束に法的な拘束力はなく、更新時に条件を変更されても対抗しにくい状況になりがちです。家賃に関する取り決めは書面に明記してもらい、更新時の条件変更についても契約書上で確認しておくことが重要です。
物件が第三者に転売された
リースバックで売却した物件は、買い取った業者が第三者にさらに売却することがあります。「勝手には売らない」と約束していた業者が転売し、所有者が変わった結果、賃貸条件が変更されたり契約更新を拒否されたりするケースも報告されています。
近年は不動産価格が高騰しているため、売却益を目的に転売する業者も一部に存在します。土地や建物が売却されても賃貸借契約自体は新しい所有者に引き継がれますが、転売リスクについては契約前に確認しておくと安心です。
買い戻しの約束が守られなかった
リースバックには、将来的に売却した物件を買い戻せる「再売買予約権」が設定できる場合もあります。しかし、この権利が契約書に明記されていなかったり、業者が倒産したりすることで買い戻せなくなったケースがあります。
「いずれ買い戻せばいい」と考えていた場合、買い戻し価格は売却価格より高くなるのが通常で、資金面での計算が狂うこともあります。買い戻しを検討しているなら、条件を契約書に必ず盛り込むことが必要です。
後悔しないための確認ポイント
リースバックが自分に向いているかどうかを見極めるには、複数の選択肢を比較した上で判断することが重要です。契約前に押さえておきたいポイントを確認しておきましょう。
複数業者の査定を必ず比較する
1社だけの査定では、提示された買取価格が適正なのかを判断できません。少なくとも2〜3社に査定を依頼して比較することで、相場からかけ離れた低い価格を押しつけられるリスクを減らせます。
買取価格だけでなく、毎月の家賃や契約の種類、転売の可否なども合わせて比較することが大切です。また、宅地建物取引業の免許を持つ正規の業者かどうかを確認することも忘れないようにしてください。
契約の種類と期間を必ず確認する
普通借家契約か定期借家契約かによって、住み続けられる期間や条件が大きく変わります。定期借家契約の場合は、期間終了後に再契約できる保証がないため、長期間住み続けたい人には不向きです。
また、契約期間中に家賃が変更される可能性についても書面で確認しておく必要があります。契約書の内容が難しく感じる場合は、弁護士や不動産の専門家に相談してから署名することをおすすめします。
リースバック以外の選択肢と比較する
まとまった資金が必要な場合、リースバック以外の方法も選択肢として検討する価値があります。たとえば、自宅を担保に借り入れができるリバースモーゲージは、所有権を手放さずに資金を調達できる方法です。
住み替えに抵抗がないなら、通常の売却で高値を狙う方が得になるケースもあります。リースバックは引っ越しをしたくない人や短期間での資金確保が必要な人に向いていますが、長期的な生活コストも踏まえた上で判断してください。
まとめ
リースバックは、住み慣れた家に住み続けながら資金を手にできる便利な仕組みです。ただし、売却価格が市場価格より低くなること、家賃が割高になりやすいこと、定期借家契約では将来的に退去を求められる可能性があることなど、利用前に理解しておくべきデメリットが数多くあります。家賃値上げや転売、買い戻しに関するトラブルも実際に報告されており、業者選びや契約内容の確認が非常に重要です。複数業者の査定を比較すること、契約書の内容を専門家に確認してもらうこと、そしてリバースモーゲージや通常売却など他の選択肢との比較検討を怠らないことが、後悔しないための基本となります。


